レースプレビュー

関西ロードレースのメッカはりちゅうでの灼熱決戦

Reported by  所長 2011.9.9

 

2011911()に兵庫県加東市、播磨中央公園 通称「はりちゅう」でJBCFエリートツアー第20戦「13回加東ロードレース」が開催される。関西ロードレースのメッカで行なわれるこのレースの見どころを紹介しよう。

 

 会場となるはりちゅうでは東側の自然散策ゾーンを使い、年間でもいくつかのホビーレースが開催されている。1週4キロのコースで上りと下りのみのレイアウト、登板力が必要なコースだ。

しかし実業団では公園東半分を使った7.8キロのコースとなり、その性質もテクニックとスピードが要求されるレースとなる。また例年9月初旬に行われるため、まさに灼熱地獄と化し昨年は熱中症でリタイヤする選手が続出した。この暑さによってサバイバルレースとなる可能性もある。 

 コースの特性はジェットコースターと評する選手がいるように、ほぼ全周が細かなアップダウン、緩やかなコーナーで構成され道幅も頻繁に変わる。しかしコーナーはノンブレーキ、上りもほとんどの選手はアウターのみで走れるため全体としてはスピードコースである。このような性質のため逃げが10秒も離れれば見えなくなる部分も多く、逃げたいスピード系選手には有利になるだろう。その中で有力な選手が力でアタックを決めるなら、中盤特に池の外周を過ぎ少し下ったところから始まる上り区間がポイントだ。800メートル前後の緩斜面からヘアピンを曲がると勾配が増して100メートル弱、さらに少し下って上り返す流れの中で連続的にアタックがかかる区間となり、力の差が現れる所でもある。 

 最終周回このアタックを耐え忍んだスプリンターは残りのテクニカルな下り区間で勇気を出して先頭付近を堅守し、公園の横断道路を越える橋の段差に気をとられるずに最終コーナーを抜けた数名に、残り150メートルを全力でもがく権利が与えられる。 

 きつい上りのないコースはスプリンターにもチャンスがあるが、この5年のうち3度逃げ切りが決まっている。そしてそれぞれの勝者は現在ユーラシアやトレックMTBで走る実力者だ。レース展開は多くの可能性があるものの、まぐれはないコースである。

 


有力選手を見ていこう

今シーズンここまで、昨年の辻選手や高塚選手のようにゴール勝負を圧倒するスプリンターは現れていない。よってゴールスプリントとなった場合多くの選手に可能性がある。

その中で挙げるとすればエリートツアーリーダーにもなったVC FUKUOKA佐藤信哉選手はスプリントになったレースで常に上位に入っている。また単騎参戦ながら有力な逃げを外さないレース感を持ち合わせている。

地元グランデパール播磨はシーズンで最も勝ちたいレースだ。中でも山本 恵大選手はディフェンデイングチャンピオン。地元応援も力となり120%で挑んでくるであろう。スプリントになれば勝利をもぎ取る可能性は高い。

 


ルーラー系の選手は多く揃った。

 まずはJETランキングE1の1位3位を占めるspacebike.comの二人、岡泰雅選手と遠藤積穂選手だ。岡選手はルーラーというよりクライマーだが経験がないコースだけに未知数。遠藤選手はオールラウンダーであり一昨年の決定的な逃げにも乗っていた。またスプリントになれば佐藤店長もいる。

 例年この加東に照準を合わしてくるのが一昨年劇的な独走勝利を挙げた榊原選手を輩出したBEREZZAカミハギRCだ。今シーズンは、榊原選手と似た脚質であり彼以上の才能があるとも言われる若杉佳祐選手で再現を狙うだろう。

 チームアヴェルの永山選手とエキップユーレーシングの長野選手はともに元マトリックスの選手。このようなコースは最も得意とするところであろう。

 最大勢力となるのは、我らがクラブシルベスト!なんと11人がエントリー。そして西日本ロードクラシックの覇者松木健二選手がエースとして勝利を担う。松木選手は一昨年経済産業大臣旗(JBCF最高位のレース)ともなった同会場でのレースでJツアー、プロ選手のみの中19位の高成績を挙げた。直近の鈴鹿では競輪S級選手とスプリントで対峙し、短距離TTで独走力も見せた。弱点のないその脚はチーム力も相まって優勝候補の筆頭だ。

実はこのレースで重要となるのがチーム力だ。チーム力といっても選手ではなくサポートチーム。今年は昨年と比べれば若干ましな予報だが、やはり12時スタートのE1は暑さ対策がキーとなる。その中で最重要なのは補給なのだが加東の補給地点はスピードの出るコーナーでありかなり難しい。さらにシーズン中補給があるのは松川とここくらいな為、プロカテゴリーを経験していない選手は苦戦することになる。また逃げが発生しやすい上、すぐに見えなくなり、さらに道幅からオフィシャルも動きにくい為、タイム差がわかりにくい。サポートを行うメンバーはかけ水用やスポーツドリンク等、的確な補給を行いボード等でのタイム差掲示があれば有利にレースを運ぶことができる。

 エリートツアーはシーズン終盤戦となり総力戦の様相を呈してきた。今回は逃げるシルベストのホームであり追うspacebike.comとの戦いも見どころの一つである。

 選手たちにとって応援の声は最大のサポートである。ぜひ現地選手を!チームの名前を!呼びに来て欲しい

 

 

第14回 JBCF 舞洲クリテリウム

Reported by 所長 2011.4.12

 

東日本大震災の影響で熊谷クリテリウム、館山クリテリウム、伊吹山ヒルクライム、が立て続けに延期中止となる中、我々クラブシルベストの地元大阪での舞洲クリテリウムがチャリティーレースという形で開催される。さらに今回2日間開催のうち16日(土)のレースはJプロツアーの初戦であり日本を代表するトップ選手たちが集結。

会場である舞洲は大阪の中心地からも近く、路線バスの運行もある。淀川の終着点なので、サイクリングがてら覗きに来ることが出来て観戦にはもってこいの立地条件である。コース全てが見渡すことができ、17()は大阪車連主催のクリテリウムも併催されるため朝から夕方までいくつものレースが行われる。是非とも足を運んで欲しい。

JBCF主催全レースの初戦になることから優勝すれば、本年度から採用される各ツアーリーダージャージを着用できるとあって例年以上に熱い戦いが繰り広げられるだろう。

 

コース編、プロツアー編、エリートツアー編と3編にわたって舞洲クリテリウムの観戦や応援の一助になる情報を提供できればと思う。

 

 

                舞洲コース景観
                舞洲コース景観

コース編

集団スプリントと逃げ切りの絶妙のバランス

1880mでほぼ長方形のパイロンで囲っただけの単純なコースだ。しかし単純な形状に隠された多くの要素がレース展開を面白くする絶妙なコースといえる。

 

【風】

大阪湾の埋立地であり、さらにちょっとした高台にあることから強い風が吹くことがある。この風が重要な要素になる。パンロンで囲っただけのコースをさえぎるものは何もなく、容赦なく選手たちに吹き付ける風は時にホームとバックで時速20キロの速度差になる。舞洲の風の特徴は基本的にホームとバックのどちらかからで、真横からの風は吹かない。ただ予選決勝やレース中でさえ、風向きが間逆になることがあるので選手は旗のなびく向きに注意しなくてはならない。

 

【落車】

急なコーナーもなく特に滑りやすいわけでもない一見リスクの低いコースレイアウトに反して、比較的落車が多い。単独または少人数で飛び出したときは、コーナーイン側の砂に注意しなければならない。さらにパイロンの微妙なうねりが危険な要素となる。4コーナー出口でアウトに広がったコースは徐々に狭くなる。ここで行き場を失う場合もある。低難度のコースゆえの心理的な油断も影響しているだろう。

 

【ストレートとコーナー】

このバランスが逃げ切りと集団スプリントの絶妙な駆け引きを作っている。一見平坦で難易度に低いコースは集団スプリント向きのようである。しかし880mのコースで実際に踏めるストレートは片側350m程度となり、コーナーでは1列2列になるから集団はローテーションをうまく組織することができない。またエスケープグループが常に見えるにもかかわらず、周回数と踏める区間から目測を見誤り逃げ切りの決まることが何度もあった。エスケープグループと集団のギリギリのせめぎあいは見所である。

            昨年春はスプリント勝負
            昨年春はスプリント勝負

【ゴールスプリント】

逃げ切りがあるといってもスプリンター向きのコースであることに代わりはない。追い風であれば時速60キロ近い(プロツアーでは越えるだろう)ゴールスプリントが文字通り目の前で展開される。戦略的には最終4コーナーを立ち上がってからゴールまで距離が短い。よってその手前3コーナー進入位置が非常に重要となってくる。その位置取りは残り5周あたりから本格化し、残り2周からは一気にペースが上がる。最後の3コーナーはそれがゴールであるかのように位置取りのスプリントが行われる。

過去13回開催された舞洲の展開は集団スプリントと逃げ切りがほぼ五分である。例年レース序盤から逃げ切りを狙ったアタックが繰り返され、息つく暇もない展開が最後まで続く。その一部始終を見届けることができる。

            秋の単独逃げ切り
            秋の単独逃げ切り

 昨年のBR1のアベレージスピードは44キロオーバー。今年のエリートツアー、さらにはプロツアーのレースではそれ以上の高速バトル見ることができるだろう。そのなかで逃げ切りとスプリントのギリギリの戦いは見ものである。

ジャパンプロツアー編

激突:宇都宮ブリッツェンVS愛三!   クラブチームにもチャンスありか!?

 

 今年で14回目を迎える舞洲クリテリウム、念願のジャパンプロツアー(JPT)のレースが開催されることになった。残念ながら急遽開催のため、地元シマノレーシングやマトリックスパワータグ、ブリジストンアンカーが海外遠征でエントリーはなかった。しかし、宇都宮ブリッツェンはじめ、愛三工業レーシング、フジサイクリングタイムのコンチネンタルチーム勢に、パールイズミスミタラバネロ、京都―MASSAFOCUSSUPER B、湘南ベルマーレ、CELBO NARA CICLING TEAMなど国内屈指のクラブチームが集う。

          宇都宮ブリツェン辻善光
          宇都宮ブリツェン辻善光

 今回優勝最有力は宇都宮ブリツェン辻善光であろう。昨年はツールド熊野でカザフスタン勢やNIPPO宮沢をゴールスプリントで下し、名実共に国内トップクラスのスプリンターとなった。秋の舞洲クリテリウム登録エリートでは、一周で半周差の逃げを抜き去る圧倒的なスピードで、優勝はもちろんポイント賞も征し完勝した。オフシーズンは関西シクロ年間ランクで首位となり、私も参戦した今月10日開催のトラックレースでも調整と位置づけながらコンディションの良さをアピールしていた。

そんな辻をサポートする宇都宮ブリッツェンはこのレースを支配できるメンバーを揃えてきた。昨年のJツアー松川を制した中村誠をはじめ3年のイタリア修行から帰ってきた初山翔の走りに注目したい。

          愛三工業レーシング綾部勇成
          愛三工業レーシング綾部勇成

 その宇都宮ブリッツェンに待ったをかけるのが綾部勇成率いる愛三工業レーシングだ。綾部は今シーズンすでにUCI HCツールドランカウィにて欧州プロコンチームを押さえ難関山岳でステージ優勝。近年、登坂力が光るが本来スプリントもいけるオールラウンダーである彼は、昨年初戦熊谷でブリッツェンの牙城を崩したシマノ畑中の再現を狙っているだろう。そんな綾部を援護するのは学生上がりの若手、伊藤雅和と木守望。若手とはいえ伊藤はツールドインドネシア2勝、木守も一昨年からスタジエ(研修生)としてコンチネンタルチームで活動するなど経験は十分。共にトラックを走るのでスピードもある。

          フジサイクリングタイム五十嵐丈士
          フジサイクリングタイム五十嵐丈士

 フジサイクリングタイムからは五十嵐丈士がエントリー。宮城在住の五十嵐は東日本大震災で自身も被災しながら自転車での物資の搬送に奔走しながらトレーニングをしての参戦。国内での初戦には特別な思いがあるだろう。

 CELBO NARAの松村光浩と澤田賢匠は昨年まで愛三、マトリックスにそれぞれ在籍していた。共に実業団トラックの優勝経験もあるスピードを武器とする選手だ。湘南ベルマーレからはクリテリウムで安定した成績を残す小室雅成と、先のジュニアアジア選手権を経験した17歳内野直也に注目したい。

 

圧倒的な強さを誇るシマノやブリジストンが欠場したことでクラブチームを含む多くの選手やチームにチャンスがありそうだ。ブリッツェンが集団スプリントに持ち込むことができれば、辻のスプリントは他を圧倒している。しかし他チームはブリッツェンの支配を崩そうとスタートから波状攻撃をかけるだろう。もし予選でブリッツェンや愛三に欠員が出ればレースは混沌としてくる。どのような展開にせよ常時アタックの高速レースは必至。レーススケジュールは以下の通り。是非、国内トップ選手のスピードを間近で目に焼き付けてほしい。

 

4月17日(土)

予選1 13:00

予選2 13:40

決勝  14:50

 

エリートツアー編

シルベストの誇るスプリンターに立ちはだかるは 元シルベストのエース藤岡徹也!!

 

 昨年までのBR1、ERクラスに相当するエリートツアー(ET)。そのなかでエリート1(E1)は昨年までのBR1選手を中心にJPT下位とER上位者がシャッフルされ、コンチネンタルチームは含まないがアマチュアのトップカテゴリーとしての地位が明確になった。また今シーズンからランキングトップの選手は「ツアーリーダージャージ」を着ることになる。第一戦である舞洲クリテリウムは、その価値あるジャージに初めて袖を通す選手が決まる注目のレースである。

 今回の舞洲は地震の影響もあってか西日本のチームが多くエントリーしている。そんな中、埼玉に拠点のあるユーラシアフォンドリエストが多くのメンバーを揃えエントリーしてきた。そのほとんどは実業団初参戦の若手だが今後ベルギーを主戦場とするホープ達だ。しかし彼らの相手は長年実業団として走ってき実力者たち、我々シルベストも優勝候補だ。さぁそんなエリーツアー初戦、舞洲クリテリウムの有力選手を紹介しよう。

          フォンドリエスト藤岡徹也
          フォンドリエスト藤岡徹也

エリートツアーの優勝候補筆頭に上がるのはユーラシアフォンドリエスト(ETはフォンドリエスト)の藤岡徹也だ。クラブシルベスト出身の選手だが今回は最大のライバルとして立ちはだかる。2008年TOJを総合28位で終えてから低迷していたが昨年ツールドフクオカのプロクリテで名だたる国内トップ選手を押さえ優勝。09年度のエントリー数が少なかったためETへ降格してしまったがその実力は群を抜いている。同じくフォンドリエストから出場の大場政登志は昨年全日本学生TT2位の実力、その独走力は脅威である。

 

 グルッポアクアタマ中田真琴
 グルッポアクアタマ中田真琴

タイムトライアルといえばスクアドラコルサ チクリヒデの丸山英将は逃がすとやっかいな存在で、毎年全日本TTエリートでプロに割って入り10位前後のリザルトを残すクロノマンだ。

 グルッポアクアタマの二人もあなどれない。特にNIPPOから移籍の中田真琴は08年舞洲BR2で逃げ切り確実と思われたシルベスト山崎とナカガワ東畠をゴール10m手前で抜き去り勝利したスピードは印象的だった。ちなみに彼も元シルベストサイクルのスタッフだ。菅洋介は昨年までJツアーでコンスタントな成績を残し熊谷クリテでは序盤から長距離逃げを披露した。実力はJPTクラスである。

 TOJ参戦経験もあるナカガワA’sKデザインは東畠信行と09年秋舞洲エリートで逃げ切り勝利した渡邊哲平が率いる。E1カテゴリーでは最多の9人がエントリー。地元大阪での逃げ切り勝利を狙っているだろう。

 タクリーノ.ネットは元ミヤタスバル西山知宏と万博クリテエリート優勝の辻俊行のベテラン二人が中心となる。トラックを主戦場とする辻本学、善波明、山崎潤は1キロ110秒を切るスピードが武器。

          クラブシルベスト山崎敏正
          クラブシルベスト山崎敏正

そして最後に我らがクラブシルベストからはチームの誇るスプリンターが勢揃いした。モスクワ五輪代表4キロ個人追い抜き元日本記録保持者の山崎敏正を筆頭に09年万博クリテ優勝井上人志、103Day熊野1st優勝鎌谷哲也、08年舞洲クリテ優勝岩尾伸一がエントリー。山崎は舞洲で毎年表彰台に上がりながら勝ちきれていない。しかし他チームがルーラー中心の今年、集団スプリントでは最有力か。井上は3月はじめに行われたレースで、すでに勝利し好調を示している。逃げの展開になったときは日本の27番目キャプテン景山昭宏の活躍が鍵となるだろう。

          クラブシルベスト井上人志
          クラブシルベスト井上人志

やはり個人、チーム、共に強力なのはユーラシアフォンドリエスト勢だろう。そこにスプリンター中心のシルベストと、ルーラー中心ナカガワの地元大阪勢が挑む構図になりそうだ。しかしこのクラスのシーズン序盤は新興チームや才能を開花させた新たな選手が多く登場する。春の舞洲は特にアグレッシヴな展開になることが多かった。さらに個々の実力が拮抗しているため予想が難しいレースになりそうだ。

 我々クラブシルベストの実業団チームにとって練習の成果を披露する今年最初の機会となる。是非、会場に脚を運んで熱い応援をお願いしたい。

 

※写真は、シクロワイヤードからの転載